「男たちが騒ぐだけあるよね。

 あなたをこうして近くでみると、納得。

 小さな顔に、大きな瞳、つやつやした桜色の唇に、そばかす一つない真っ白な肌。髪は、腰まであって・・・細そうに見えて、スタイルもいい

 生徒会役員で、もちろん、頭も良いなんて・・・出来すぎかな?」



 人形のように整った顔をしている彼女にそう言われても、なんと答えていいかわからない。
 
 顔やスタイルなんてどうかはしらないけど、生徒会役員の仕事は大変だし、勉強だってちゃんと、予習、復習しているからあるていどの成績がとれているわけであって・・・、なにもしていないでそうなのだといういい方は、いやだ。

 他人に、自分を否定されるということは、こんなにも不愉快な気分にさせられるのだと・・・、なんだか、痛くなってきたこめかみを押さえながらそう思った。

 でも、彼女の言葉は止まらない。



「・・・男にとってはそうであっても、女にとっては、羨望と妬みの対象だよね。

 ねぇ、知ってる?」

「なにを?」



 声を震わせないように気をつけて、できるだけ毅然と聞き返した。

 彼女がくすっと笑った。



「予想外に、気が強い。つつけば、すぐに泣きそうとか思っていたんだけど」

「泣かない」

「それとも、女のまえでは泣かない? 涙って、男の前でつかってこそ、効果的だからね」

「・・・そんなこと、しない」



 そりゃ、泣き虫だけど、ねらって泣くなんて、そんな器用なまねできない。

 それにしても、彼女はわざと私を怒らせようとしている、そんな感じがした。



 だからこそ、カッとしてはいけない。

 本当はおなかの底からむかむかしていて、頬も熱をもったように熱くなってきているんだけど・・・、彼女の挑発にはのらない、絶対。