元々ウチの父親とあの人が友人同士で、小さい頃からあの人とは会っていた。

その頃はまだ、ちょっと渋い感じがするけれど、優しくて気のきく人だなぁ~って思っていただけだった。

それがこういう関係になったのは、あの人から告白されたから…。

「でも公にはできないしな」

執事のあの人が、メイドのアタシと付き合っていることは内緒。

広まれば、絶対よくない噂が流れる。

―執事が下っ端の使用人に手を出した―

何て噂が広まったら、あの人もアタシもここを辞めなくちゃいけない。

ここのご主人様は世間的にも有名な人だから、悪評がついた後、再就職するのは難しそうだ。

「まあ内緒なのは良いんだけどね」

あの人はとても人当たりが良くて、老若男女から人気が高い。

けれど歳が歳だから、アタックしてくる女の子はあまりいない。

それが安心するところだけど、やっぱり…秘密って辛いかも。