友達……か。
なんでだろう…?
俺今…ちょっと残念だって思った。
俺たちは友達。
そんなことはわかりきってるし、この関係に不満がある訳でもないのに…
「…水嶋くん?」
「……ははっ!何言ってんの、彩菜ちゃん…そんなの当たり前じゃんか!」
そんな気持ちを隠して笑顔で言うと、彩菜ちゃんは安心したように笑い返してくれた。
彩菜ちゃんのその笑顔に、俺の胸はまた高鳴る。
……もう。
何なんだよ?これ─
「…あ。水嶋くん、見て下さい!すごい眺めで……っ!?」
観覧車が一番上まで来た辺りで、俺は楽しそうに景色を見ていた彩菜ちゃんの手を、何の前触れもなく握った。
「…ごめん、何も言わないで。今だけ……こうさせて。」
驚く彩菜ちゃんにそれだけ言って、俺は彩菜ちゃんの方を見ることなく、ただじっと外を見ていた。

