それから聞いた話。



この美吉さんは、彩菜ちゃんの再従兄弟に当たる人なんだそうだ。



それを知ったのは小学校の時だったらしいけど、2人はそれは別に気にしないで、ずっと友達として付き合っているとか…



そして、彩菜ちゃんにとっての友達は今までこの美吉さんしかいなくて、みんな彩菜ちゃんのことをわかろうともしなかったらしい。



むしろ、財閥の一人娘である彩菜ちゃんを妬む子たちが多く、彩菜ちゃんはいつもいろんな子たちにいじめられていた、と。



美吉さんは、そんな彩菜ちゃんをいつも守って、ただ1人の味方だったそうだ。



「…って訳だ。彩菜を守ってやれるのは、俺しかいなかった。俺は…彩菜の友達であり、SPなんだ。」



SPって……
なんだか大げさだな─



でも、美吉さんがいなかったら彩菜ちゃんは…



そう考えると恐ろしくなった俺は、その気持ちを胸の奥にしまった。



「水嶋。」



「…ん?」



「助けて……くれ。」