「俺…美吉 有加【ミヨシ ユカ】。…よろしくな。」
あの一悶着がとりあえず落ち着いた後、女の子は俺の方を見ずにそう言った。
「俺……?」
俺の目がおかしくないのなら、目の前にいるのは明らかに女の子だ。
なのに…一人称、俺?
「あ…有加ちゃんは、昔からこうなんです。気にしないで下さい。」
「そうだよ。細けぇこと気にしてんな!男のくせに!」
「………」
…あなたが一番男っぽいと思うのは、俺だけ?
なんか…負けた。
意味はないけど、そう思わざるを得なかった。
「ていうか…昔からって?まさか、前言ってた『お友達』って……」
「…はい。この…有加ちゃんのことです。」
ただただ衝撃だった。
こんなにおしとやかな彩菜ちゃんの友達が、こんな男勝りの子だなんて─
「…んだよ?なんか文句でもあんのか?水嶋。」

