そう言った彩菜ちゃんは、少し悲しげに目を伏せた。
「いっ…いや。そんな、嫌いなんかじゃないよ。ただ、眠くなりやすい4限か5限にはやらないで欲しいなーって思ってるだけ!」
正直、俺は古典や歴史は完全に嫌いではないが好きでもない。
でも、ここでそれを言ってしまうと彩菜ちゃんを傷付けそうで、何とか誤魔化してみた。
「そうですか…なら、よかったです。私……歴史は微妙ですけど、古典は大好きなんです。」
やっぱり……
正直に言わなくてよかった。
誰だって、自分が好きなものを自分の前で『嫌いだ』なんて言われたくないもんな。
もし、俺の目の前でテニスが嫌いだなんて言われたとしたら悲しいし…
「あ…もしかしてさ、休み時間に読んでる本も古典のだったりするの?」
「…はい。あれは、源氏物語の原文なんです。」
原文って……
昔のままのやつ!?

