リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・11

けれど注文した品を持ってきたウエイトレスの動きと表情が、音を立てて固まるのをボクは見てしまった。

ウエイトレスはそそくさとテーブルに料理を置くと、すぐさま奥へと引っ込んだ。

ああ……絶対に勘違いされている。

センパイはボクのことを、ちゃんと恋人扱いしてくれる。

それは…照れ臭いけれど、嬉しい。

…でも周囲から見ればその…怪しい関係に見られてしまうことが多かった。

「美味しそうだね。食べようか」

「…はい」

しかしそんなことは一切気にせず、センパイは料理を食べ始める。

ボクは食欲が失せてしまったけれど、食べる。

まあ、いつものことだし…。

ボクはセンパイと付き合うようになってからも、男の子っぽい格好は止めなかった。

センパイも特に何も言ってこないし、恋人としての関係に問題はない…とは言えないな。

今みたいに、周囲に誤解を与えることが多いし…。