鈍感王子にご注意を


「え...何てって...「“可愛い”とか
“似合ってるね”とか“どうしたの”
とかその格好に対して何か言った?」

「.....あ、言った!『もうそんな格好
してこないで』って。」

─バンッ

玲奈ちゃんは力強くテーブルを叩いた。

「それだよ!それ最低じゃんっ!」

「最.....低?」

「誠くん!それはね、恵美は、誠くんの
ため「玲奈、もうよせよ。」

和也は玲奈ちゃんの口を手で塞いだ。

「ふ....で...もっ.....。」

「誠。今から笹野のとこ行け。」

「え、でも「今日は俺がおごってやる!
その代わり仲直りして帰って
こなかったらこの代金全部
払わせるからな!」

「和也.....。」

和也の隣で玲奈ちゃんもガッツポーズを
していた。

「よしっ!行って来るな!」

俺は店から飛び出した。

行き場所なんて考えない。
自然と足が動くから。

そう.....ここ.....

「恵美ちゃん.....。」

ボタンを押せば恵美ちゃんが部屋から
出てくる。

出てきたら...何て言えばいいんだろう。

『ごめん』

そう言って恵美ちゃんに俺の気持ち
伝わるんだろうか...?