鈍感王子にご注意を


「答えてよ。」

そんなの決まってる。

「スキだよ。」

すると恵美ちゃんはため息を吐いた。
何でだよ!

「...スキなら...どうして...
気づいてくれないの?」

「は?」

「いい加減気づいてよっ!」

言っている意味が分からない俺は
ただ恵美ちゃんをじっと見つめていた。

「誠くん...のこと私...すごいすごい
スキだよ?誠くんが私にスキだって
言ってくれて嬉しいよ。けど.....
誠くんの目に私は映っていないんじゃ
ないのかな.....。」

「.....?」

恵美ちゃんは、俺の手首をつかんでいた
力をゆっくり抜いて行く。

「あの...さ「もういいッ!」

.....?

「ここまで言っても気づかないんでしょう?
もういいよ!誠くんなんて!
もういいからっ!私帰る!」

「ちょっ、恵美ちゃん。」

玄関まで行く恵美ちゃんをやっと捕まえた俺。

「離してよ!」

「離すかよッ。ちゃんと話せよ!」

「っっー.....。」

俺の怒鳴り声が響いて恵美ちゃんは
肩を少し震わせた。

「...ごめん。やっぱ帰って。あともう
そんな格好で外歩かないで。」