鈍感王子にご注意を


「まっ誠くん来ると思うから私...
もうカフェの中にいなきゃ...。」

「何言ってんのよ!」

急に綾乃さんが私の手をつかんだ。

「え...?」

「こういうもんはね、たまに遅刻したほうが
いいんだからね!」

「あのー「いつも先にいたらなめられるのよ!
私中学の時それで失敗したから!
あー、思い出したら腹立つ!
大体ね、男のほうが早く来るもんよ!」

「あっ綾乃さん.....?」

「あ、きたきた♪」

玲奈ちゃんが指をさす。
そこには誠くんがいた。

「あ、いっちゃったー!」

誠くんは店内をキョロキョロ見回しながら
席に座った。
そして携帯をいじる...。

「れっ玲奈ちゃん!綾乃さん...!」

「仕方がないなー。ほら、言ってきな♪
“可愛い”って言われるといいね♪」

綾乃さんは優しい笑顔を見せて私の手を離した。

「いってらー♪」

玲奈ちゃんも車から手を振る。

私は頷いて車から出る。



「いらっしゃいませー。」

お店の中に入ると誠くんがすぐに私に
気づいて手を振る。

「遅くなってごめんねー。」