「これは…?」




「お前に似合うと思って、買って来たんだよ」




彼は私の身体を反転させ、私の手から紅を取った。




「動くなよ」




彼の手が私の顔に添えられ、添えた方の指で唇に塗られている紅が拭われる。




今まで塗っていたのは、少し濃いめの赤い紅。




それを拭った彼の指先はうっすらと赤くなっていた。