私はそんな彼の綺麗な黒髪に触れた。 「歳三さん」 「ん?」 「ありがとうございます」 私は彼からの愛情を一身に受けている。 そして、子供という宝まで授けてくれた。 だから、彼には感謝してもしきれない。 「俺もありがとう、涼」 歳三さんは私の腰の辺りに手を回し、抱き着いて来る。 私もお腹に寄せられたままの彼の頭を抱きしめた。 幸せ過ぎる春の宵。 私は愛しい彼と一緒に新たな命の胎動を感じていた――。