「放課後一緒に帰らない?街のいいとこ教えたいから。」

このコトバから由衣への積極的なアプローチが始まった。


しかし、由衣も毎日帰れるわけではなかった。

二週間に一度の割合で帰った。



一回目4月21日。
由衣が転入して15日目。

行った場所は、オレの家の近くにある広い公園。6年前、1番二人で遊んだ場所。

「由、、、、山田さん。ここの公園どう思う。」

公園のベンチに座り、由衣に聞いた。

「うん、、、広いですね。すべり台にブランコ、砂場に鉄棒。小さい子には最高の公園ですね。」

その小さい子の時代にオレらはここで遊んでたんだけどな。

「最高だろ?ここは、昔っから遊んでた公園なんだよ。もちろん一人じゃない。今この街にいない女の子といつもここで遊んでた。」

「モテモテだったんですね。」

「まっまあな。」

オレを見ながら笑う由衣。
由衣を見ながら苦笑いするオレ。

昔遊んだ女の子は、君なんだとは言えるはずがなかった。


「なんかよくわかんないんですけど、この公園落ち着くっていうか、前にも来たような。」

「記憶が無くなる前に来た、、、とか?」


由衣を見つめるオレ。

「やっぱ来てないです私。」

まあしかたないか
6年前だし記憶ないし。

結局一回目の帰宅は、学校から公園までの道のり10分に公園の滞在時間20分。計30分の時間由衣と一緒にいた。


今日は、あの[桜の木の下]に行かずにすみそうだ。

6年前の[約束]を取り戻す事がゆっくり、ゆっくり進んだ1日だった。