「もしかしたら...本当はこのまま
分からないほうがいいのかな...。」
千尋が呟くように言う。
「へえ.....?」
「...心愛。今から聞く事は頭の片隅に
入れるだけにしてほしいんだけど...。」
「何.....?」
「実は.....。」
────────────...
「火葬ってどれくらいかかるのかしら?」
「さあ?一時間くらいで終わるんじゃ
ないのかしらねー?」
「そうね。ほんと岸本さんは気の毒ね。」
「ええ.....。」
梓ちゃん.....。
最後のお別れの時間。みんなが梓ちゃんを
花で包む。
「本当に...これが最後なんだね。」
隣で千尋が呟いた。
「慧くん.....いいの?」
「...昨日連絡したけど繋がらない。
電源切っているみたい。」
「そっか.....。」
昨日の千尋のセリフが忘れられない。
『実は.....梓ちゃんって結構黒い噂
あるんだよね。中学生の頃から年上とかと
付き合っていたって。高校生とか...と
夜道を歩いていたって。よく警察にも
つかまっていることもあったらしいの。
でも心愛と仲良いからそんなこと
いえなくて...でも慧くんと付き合うように
なってからそんな噂消えてなくなって
いたから...本当にただの噂か
もう梓ちゃんがやめたんだと思って
いたんだけど.....さ。』

