キミに送る約束~空に向かって~


「明日のお葬式...心愛来るの?」

「ん。行くよ。だって...明日火葬でしょ?」

「火葬.....かあ。」


千尋はため息を吐いた。ため息から
白い吐息が上がる。

千尋はギュッとマフラーをつかんだ。


「正直...実感できないんだよね。
梓ちゃんが死んじゃったって。」

「あたしだって.....そうだよ。」

「.....慧くんは?」

「へ?」

「慧くんは...本当にこのままで
いいのかな?」

「.....わかんない。」

「え?」


千尋は首を傾げる。


「わかんない。どうしたらいいのか。今
一番辛いのは慧だから...だから
その悲しみをとってあげたい。
けど.....どうすることもできない。
だって傷つけたく...ないんだもん。
慧に...事実を知らせたくない。」

「事.....実?」

「っっ.....!」


思わず口からこぼしてしまった言葉。
あたしは口を抑える。


「事実って何?!本当は何か事情があるの?」

「.....。」

「心愛!あたしを信じて!あたし達友達でしょ?
心愛がそんなに慧くんを守る為に
全部ためなくたっていいじゃん!」

「じゃあ、誰が慧をこれから守るの?」

「え.....」

「慧は...守るものなくなっちゃったんだよ。
守りあうものも...なくなっちゃったんだよ。
だったらあたしが...陰から隠れて
慧を守りたい!」