心愛Side

部屋に鳴り響くお経。
前の席ではパイプ椅子にもたれかかって
泣いている梓ちゃんの両親。

あたしはずっと花に囲まれたニッコリ笑う
梓ちゃんの遺影を見つめていた。


何でここに写っているの.....?


心の中でずっと呟く。
何で.....?梓ちゃんは...
どこへ行ったの?


「っっ─!何で...何で...何で
死んじゃったのよー!」


梓ちゃんの祖母だと言っていた人が
椅子からおちて泣き出す。
隣にいた...梓ちゃんの祖父が
梓ちゃんのおばあちゃんの背中を
優しく撫でた。

あたしは周りを見渡した。
みんなが泣いていた。
みんな.....みんな.....
そして.....

「あ...れ?」


全体を見渡す。でもどこにもあの...
慧の姿がない。

昨日の事を思いだした。

あれ...あたしあのままどうしたんだっけ?
慧にどんな言葉かけたんだっけ?

あたし...どうやってここまで
来たんだろう.....?


慧はいま...どこにいるんだろう?


脳裏から読みがえる記憶.....








「慧...う、そでしょ?」

「............。」

「ねえっ!慧っ!」