「別にただバイトが疲れただけです。
心配しないでください。あと.....
もうあたしに連絡も...
しないで.....ください。」
それだけ言って梓ちゃんは学校であたしと
目があっても明るく話しかけて
こなくなった。
『神楽くんと上手くいってないらしいよー。』
よくそんな噂を聞いた。
『梓ちゃん他の男と歩いてるの見たって
いってる子いるんだってー』
そんな梓ちゃんの悪い噂が流れて...
冬休みに入った。
あたしはしょっちゅう千尋と図書館に
通って外に出ていたけど慧にも
司くんにも...梓ちゃんにも会わなかった。
「そうやってさ、みーんな大人になって
いくんじゃないかなー?」
「大人...?」
「そ。大人。最近宗佑だって素っ気無いよー。」
千尋は板チョコにかぶりつきながら言う。
大人.....か。
大人のなり方なんて...あたし達の年で
知っている人なんていない。
だから...どうすれば大人になれるのか
分からない。
じゃあ...これが本当の大人のなりかた...
なのかな......?
「ま、あたしはずっとこのままでいいけどー♪」
千尋は口を尖らして言う。
「心愛だってこのままでいいでしょ?」
あたしは.....このままでいいの?

