「えー!すごいじゃん!」
1年の生徒達がキャッキャ騒ぐ。
わけの分からないあたしたちは
ただ首をかしげ周りの子に事情を聞く。
「ねえ、梓っちどしたのー?」
千尋がたまたま隣にいた1年生に聞いた。
「ああ、梓ちゃん今日神楽慧さんの家に
行くんですって。家族に紹介してもらうって
言っていましたよー。」
「へっへえー。」
千尋はしまったというような顔をして
あたしの背中をおす。
「ほらほら、やきそばパン買おー!」
「ごめんなさいねー。もう売り切れちゃったのよ。」
購買のおばさんはそう言いながら他のパンを
進めてくる。
「クリームパンならあるわよー?美味しいわよ?」
クリーム...パン.....
「いえ、そっちのあんぱんにします。」
「はい、お釣り。明日早くおいでよー。」
あんぱんを受け取ったあたしと千尋。
まだ騒がしい購買からあたしを
出そうとしてくれたのか千尋はあたしの
背中をグイグイおす。
─でも.....あれは気のせいだったのかな。
梓ちゃんがあたしのことを見て
意地悪そうな顔をしたのは.....。

