慧Side

「早く心愛先輩にも彼氏ができてWデート
とかできたらいいのにね♪」


隣で子供のように飛び跳ねながら歩く梓。
今日も梓をバイト場所まで迎えに行き
送っている俺。


「心愛は、本当に中澤のこと好きなのか?」


ついそんなことを気にしてしまう。


「う~ん...好きになるんじゃないかな?」

「好きになる?」

「うん。だってそりゃあ誰だって好きって
言われたら嫌な気はしないでしょ?
それに顔も良くて頭もいい人に
コクられたらやっぱ断れないじゃん。」

「.....そういうもんなのか。」

「何ー!もしかして慧くん心愛先輩のことで
ヤキモチやいてるの!?
ひどーい!」


そういいながら梓は鞄で俺の尻を叩く。


「別にそういうわけじゃねえって!なんか
娘を嫁に出す気分っつうか.....
あー!もう分かんねえよ!」


そう言って俺は梓を抱きしめた。


「慧くんはあたしだけ見てればいいんだよ。」


梓は顔をあげてソッと俺の唇に自分の唇を
重ねた。寒いせいなのか少し冷えた
梓の唇はとても愛しく感じた。


「なんちゃってね♪」


梓はペロッと舌を出して家に入って行った。

俺は、自分の唇にソッと指で触れて
梓の家に明かりがつくのを確認してから
帰って行った。