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「おはよー♪」
電車に入ると千尋と宗佑くんは楽しそうに
話をしていた。
あたしも電車に乗り込む。
そして適当な位置に立ったあたしは鞄から
本を出す。
しおりを抜いて本を読む。
「おはよ。心愛ちゃん。」
まだ二、三行しか読んでいなかったあたし。
上から振ってきた声の持ち主は...
「弘也くん?」
こうしてみると弘也くんはやっぱりかっこいい。
大人の男ってかんじ。
とても高校生には見えないよ。
「昨日はどうも。」
「こっこちらこそ。」
「何の本読んでるの?」
「あ、これ推理小─「慧くーんっ///」
隣の車両から聞こえてくる甘ったるい声。
「おお!梓っ♪」
嬉しそうに見詰め合う慧と梓ちゃん。
あたしはそれをただ黙って見ていた。
「やっぱり、心愛ちゃんアイツの事好き
なんだろう?」
「へっへえ!?///なっなわけない!」
「図星のくせに。見てたら分かるよ。
ずっと俺心愛ちゃんのこと見てたんだから。」
「あ、そっそそんな...そっそんなこと
絶対ない!」
あたしは自分の顔の前で必死に手を振る。

