まあ、あたしと梓ちゃんが関わりなくても
あれだけ可愛いし有名だから
知らないわけはないんだけどね。
「もしかして...心愛の紹介とか?」
「..........。」
「はあ...あんたばっかじゃない?何で
自分が好きな男を他人に紹介
しちゃってくっつけてんのよ!」
「だだだだだって...慧も梓ちゃんもお互い
紹介してって言うから...。」
千尋はあたしの相談相手?
だけどいつもお説教ばかり。
「心愛!本当に慧くん好きなら気持ち
伝えてみたら?」
「なっなっ何言ってんの?そっそんなこと
したらあたしたち─...「千尋!」
電車から降りた宗佑くんが千尋に
手を振る。
千尋は嬉しそうにも少し無愛想に
宗佑くんに手を振る。
いいなー。この二人は。
「とにかくあたしはこの関係を壊すことは
出来ないの!いいの、これで。
慧が幸せなら...。」
電車が動き出した途端慧が階段を登っているのが
見えた。一瞬目が合ったけど電車が速いスピードで
走り出すせいか慧の姿はもう見えなくなって
ガラスの向こうは黒い壁一枚になった。
隣の車両から梓ちゃんが携帯を見て
口元をあげているのが見えた。

