「姫宮心愛」
「はいっ」
校長先生から卒業証書を受け取る
回れ右をしてステージから降壇する
今日は...3月1日
あたしの卒業式です
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「やだー!卒業したくないっ!」
校門でわいわい同じ学年の子たちが
泣きながら抱き合う
あたしは、卒業証書を握ってキョロキョロする
.....やっぱり来れなかったか─
ため息をこぼしてみんなの元へ
戻ろうとしたときだった
「心愛っ!」
振り向くと久しぶりに制服を着た...
慧が校門に立っていた
「慧っ!」
慧は、息を切らしながら校門をくぐる
「わりー...ハァ...ハァ...中々みんな
帰してくんなくて遅刻した.....」
「ばかーっ!」
どうせ人気者の慧のことだろう
卒業なんていったらすぐに
囲まれてしまうに違いない
「ばかじゃ...ないだろう?」
上目遣いであたしを見る
こういう仕草1つ1つがカッコよすぎる
「っ.....///」
「留年しちゃったけどさ...」
そう。慧は、入院していて出席日数が
足りないため留年することになってしまった
もう一年受験生として過ごす
「あーあ。俺もみんなと一緒に
卒業したかったなー」

