「...分かった。ありがとう」
それからまたみんなで黙り込む
おばさんは、目を瞑りながらひたすら祈っていた
司くんは、ずっと手術室を見つめる
宗助くんは俯いたままゆっくり深呼吸をしている
千尋は、あたしの手をギュッと握っている
今あたしたちに出来ることは
これだけだから─...
少し瞼が重くなる
昨日眠れなかったからかな...
窓から見える空は、もう真っ暗だった。
照明のせいで外ははっきり見えないけど
満月だけが見えた
自然と涙がこみ上げてくる
待ってなきゃ...あたしがこんなに
不安になっていてどうするのよ.....
神様.....どうか慧を救って下さい。
慧を元気な体に戻して─っ.....
.....それだけでいいから
「先生っ!」
急におばさんが立ち上がる
手術室から先生が出てきた
つられるようにあたし達も立ち上がった
「先生っ!慧は!?」
「.....手術は、無事成功しました」
.....成功?
手術.....成功した.....の?
「心愛っ!」
みんなの顔がパアッと明るくなる
千尋は、あたしの手をとって微笑む
「っっ.....良かった.....」
視界がぼやけてくる

