「だから...待っててくれ...
元気な体になって...大学行って...
心愛の事迎えにくるからッっ!」
涙がシーツに零れ落ちて行く
恥ずかしさなんて忘れていた
ただただ目の前にあるものに必死だった
「うん─っ」
心愛は優しく微笑んで俺を抱きしめた
「ばか野郎...隣ちゃんとあけとけよ」
「ずっとあいてるからっ!」
心愛は俺の肘をつついた
それから二人で微笑んだ
離したくない。絶対に─
いや...離せないんだ。心愛以外
ありえねえんだ......
────────────...
そしてとうとう手術の時間になった
俺は、仰向けのままみんなを見る
「慧、頑張れよ!」
兄貴が言う
「慧、待ってるからな」
宗佑が言う
「退院したらまたWデートしよ♪」
千尋が笑顔で言う
「慧.....頑張ってね」
母さんが言う
そして.....
「慧っ.....」
泣いている心愛が近づいてくる
俺は、心愛の手をギュッと握った
「心愛.....」
「ん...?」
「大好きだよ」

