慧Side

「明日がいよいよね...」


母さんが窓から外を見て言う


「あぁ.....」


長い夏が終わろうしている...
そして明日は、俺の手術日


「この手術で...全部摘出できれば...
完治できるのよ......」

「あぁ.....」


一時は腫瘍が大きくなるのが早かったが
最近は、大きくなるスピードも収まっていて
入院当初とそこまで変化はない

悪性じゃなかったことが
幸運だったんだ.....


「もう、慧ったら何そんな暗い顔しちゃってんのよー。
手術終わって退院したら遊び放題よー」

「...成功したらの話だけどな」


100%なんて数字は、出ていない


「.....暗い事言うんじゃないわよー。
ネガティブねー。ふふ、誰に似たんだか」

「少なからず母さんじゃねえな。母さんみたく
ポジティブには中々生きれねーよ」


ある意味尊敬するっつーの


「ふふ、一言余計ー。...あら、心愛ちゃん」


病室の入り口に心愛の姿が見えた

きっと母さんがうるさくて入りにくかったんだろう


「じゃ、あたしは一旦ロビーにでもいるわね。
2人でごゆっくりー」


心愛は、母さんに頭を下げて病室に足を踏み入れてくる


「...明日だね」

「あぁ.....」

「っぷー、どうしちゃったの?そんな
暗い顔しちゃって」


心愛がわざと笑顔を振舞っているのが分かる