そこにいた慧は涙を流していた


「...んで見つけるんだよ」

「え?」

「ここなら...バレねえって思ってたのに
何で...見つけんだ「ばか!見つけるに
決まってるじゃん!」


あたしは、慧の頭を軽く叩く


「いってぇ~...おい!俺病人なんだぞ!」

「病人だったらおとなしく病院にいなさい!
みんなに心配かけて...っばか!
......良かった.....」

「は?」


あたしは、ぎゅっと慧に抱きつく


「見つかんなかったらどうしようって
思った......」

「心愛.....」


あたしは、そっと慧から距離をとる


「っ...加藤さんがかわいそうだよ。
慧がそんなんだったら...加藤さん
悲しむよ.....」

「っっ.....」


慧の顔が歪む


「ねえ、帰ろう」


あたしは、慧にゆっくり手を差し出す
慧は、ゆっくりあたしの手を掴んで
うつむく


「何おびえてるのよ。大丈夫...慧」


大丈夫.....慧なら大丈夫.....



あたしは、慧を抱きしめながら
何度も“大丈夫”と呟き続けた