─ドン、ドンッ
「なっ、何だ...?」
心愛が来た時のために缶ジュースを買いに
フロアまで行った
そこの自販機の前には、車椅子に乗った
20代くらいの男がいた
髪は、金髪でひげを生やしている
ガラの悪い男だ
男は、ずっと自販機を蹴り続けている
周りは、その男から逃げるようにフロアを
後にしていく
俺は、ゆっくり自販機に近づく
男は、ゆっくり俺を見て上から下まで眺める
そして俺を睨みつける
「...よけて貰えますかね?」
男は、黙って車椅子をバックする
俺は、ジュースを一気に買い捲る
「...お前そんなに買ってどうすんの?」
低い声で男が言う
「彼女が来た時のために買っといてんです」
「...あ、そう」
男は、それだけ残して車椅子をダルそうに
運転させていく
一体何が目的だったんだろう...
──次の日もフロアに男がいた
ただ今日も自販機を蹴っていた
俺は、またそいつに近づいていく
「...何してんすか」
「...昨日の奴か」
また俺を上から下まで眺める
「周りの迷惑。そんなに何か蹴りたいんだったら
自分でも蹴ってたらどうですか?」
すると男は、俺を見て鼻で笑う

