「...あたし、慧に必要とされてないのかな?」
「違う。あいつ意地張ってるだけだよ。
あいつ昔から上手く嬉しいときとか悲しい時
とか感情表現するの苦手じゃん?」
確かに...それは、思う
「こんな事言うのも俺もどうかしてるけど...
心愛しかやっぱいねえ。アイツの事
支えられる奴は。頼む.....」
司くんは、ズボンのポケットから
紙切れとあたしに差し出す
「何.....これ?」
【20×× ×/× あさひ公園木の下で】
雑に書かれた字.....
これ.....って
「あいつの部屋でたまたま見つけたんだ。
机の引き出しに入ってたんだけど...
心愛ならなんか分かると思って─.....」
「ハァハァ.....」
紙切れを握り締めてあたしは、あさひ公園まで
走る
木の下まで行き息を整える
「って...何やってんだよ。あたしは.....」
自分で自分が笑えて来た
あたしは、ベンチに座って公園全体を見渡す
よく...来てたな─。
慧と司くんとあたしでよく遊んでいた滑り台
慧と取り合いになったブランコ
泥団子を作った砂場
慧と2人で学校帰り毎日乗ったシーソー
体育のテストのために逆上がりを慧に
教えて貰った鉄棒.....
「楽しかったな─....」
─目を閉じて...ゆっくり呼吸をする
ゆっくり記憶がよみがえる─...
「ここ!ここに埋めよう!」
あれは、確か.....小学3年生くらい...

