「慧、電車の中で倒れたのよ。それで
そのまま病院まで運んで貰ったのよ」
母さんがかすれた声で言う
「そう.....」
そうだ。電車であのまま倒れたんだった
「わりー.....」
布団を握り締める
「...で、何.....これ?」
腕に繋がれている点滴
よくわからない装置がちゃんと俺の体に
繋がれていた
「慧、入院することになったから」
「...は─っ?ちょ、待てよ!俺、入院するも
何も言ってねえじゃねえか「慧。あんた
電車の中で倒れたのよ?分かってるでしょ?
良い加減にしなさい。ちゃんと入院して
治療しましょ。ねっ?」
「っっ......」
心愛が俺の手をギュッと握る
「.....飲み物買ってくるわね」
母さんは、心愛に優しく笑いかけ病室から
出ていった
カーテンで仕切られていて分からないが
きっとこの病室には、患者が何人か
いるはずだ
だから母さんもあんなに冷静を保とうと
していたんだ
「ねえ、さと「...帰れ。お前の事だからどうせ
今日も学校休んだんだろ?」
「っ......学校なんて行ってられないよ」
「行ってられなくたって行けるんだったら
ちゃんと行けよ!」
心愛の目が少し潤んだ
「頼む。自分の事一番に優先してくれ。
俺の事なんてその次でも.....もっともっと
次でもいいから...な?受験生なんだぜ?
大学落ちたらどーすんだよ」
「落ちたら予備校通ってまた受験するよ」
「お前が稼いだ金じゃねえだろ。簡単に
そんな事言うな!...あんま親に負担
かけたくねえじゃんか.....」

