心愛Side

「えっ!?スイカっ!?食べる食べるっ♪
今行くねっ♪」


暑い毎日が続く夏休み。
そんなあたしが向かう場所は...

―ガチャッ


「おじゃましまーす。」


隣の家。つまり慧の家。

「心愛ちゃん。いらっしゃーい。」

「おばさんこんにちは。」


家族ぐるみの仲だから
勝手に家に入る事も
当たり前。


「はい。どうぞっ。」

「いただきますっ。あれ?慧は?」


そう言いながらもスイカを頬張るあたし。


「ああ。慧はまた...ね。」


おばさんは、嫌そうな顔をする。

ああ。なるほどね。
おばさんがこの顔をするときは
私の胸が痛くなる。


だってそれは―

「ただいま~。って...お!?
また心愛いんの?」


嫌そうな顔をして
入ってくる慧。
あたしの片思いしている奴。


「おう。悪かったか?この女ったらしめ!」


つい可愛くないことを
言っちゃうあたし。


「うるっせーな。
今別れてきたんだ!ば~か。」


だから不機嫌なのか。


「どんくらい?」

「は?!」

「付き合ってた期間。」
「...3週間。」
「ふ~ん。結構続いた方じゃん。」
「うっせ。もう思い出したくもねえよ。
いちいちうるせえ女なんだ。
あいつは。母さん。
スイカ俺にもちょーだい。」