吐き気がする。視界がくらくらする
「慧─っっ!?」
心愛の焦った声が聞こえる
「ちょっと!ねえ、慧ってば!」
俺は、心愛に寄りかかるように倒れこむ
起き上がろうとしても体が重くて
起き上がれもしない
「おい!誰か救急車呼べよ!」
「運転手さんっ!」
周りがザワザワ騒ぎ出す
「慧っ!」
心愛の涙が俺の頬に落ちた
その瞬間─...俺の意識は消えた
──────────.....
「ん─.....?」
手に暖かい感触がする
やわらかい.....安心する.....
「さと.....し?」
ゆっくり目を開けると最初に
心愛が目に映った
「慧っ!」
心愛が俺に抱きつく
「心愛.....ここって─.....」
「病院よ」
「え?」
見ると反対側に母さんが座っていた
顔は青白く疲れきっていた

