あたしは、我に帰ってうつむく
「そんな簡単な話は、ないんだ」
「っ...分かってる...そんなこと。
だけど...だけどっ、パパ慧の家の
事情分かってるよね!?母子家庭なんだよ!
早くに慧パパ死んじゃって...今まで
大変だったこと隣で見てきたじゃん。
慧ママ遅くまで働いてパートまで
入れて.....。だから手術代まで出すなんて
言ったら大変なんだよっ!」
「心愛!いい加減にしなさい!」
今度は、ママが怒鳴りあげた
「だって.....あたしこのままじゃ...やだ。
慧も病気で.....「やめなさい。
つらいのは心愛だけじゃないんだ。
慧くんが一番ツライんだからな」
パパがあたしの言葉を遮る
パパが遮らなかったらあたしは、あのまま
何て残酷な事を言おうとして
いたんだろう.....
考えるだけでも怖い.....考えたくない。
けど.....気づいたら考えている
「ねえ.....あたし、どうすればいい...の?」
あたしには、何が出来るの?
「今は、隣で支えになってやりなさい」
「へ─.....?」
パパがそっぽを向いて言う
「大事なんだろ?慧くんのこと」
あたしは目に涙をいっぱいためて頷く
するとパパは盛大なため息を吐く
「慧くんなら....まあ、いいのか─...
でっでもな、ちゃんと普通の交際を
しなさい!そして.....自分の気持ちも
慧くんの気持ちも両方大切にしなさい」
「.....ありがとうっ」
あたしは、あたしにしか出来ないことが
きっとあるはず.....
あたしが隣で支えるんだ─.....

