─♪♭♯♪♭♯
急に携帯が鳴る
メールが1件...兄貴からだ!
【母さんに心配しないでって
伝えておいて下さい】
たった一言.....それだけだった
それから何冊か問題集を持った
母さんが本屋から出てきた
「げ!そんなに買わなくていいっつーの」
「何言ってんのよ!これくらい解かなきゃ
あんたは頭に入んないじゃない!」
「何だよそれ!」
母さんはまだ笑っている
「...兄貴からメール来た」
「え!?何てよ!?」
母さんに携帯を手渡す
「..........これだけ?」
「これだけ」
「.....そう」
母さんがエンジンを入れる
「そうって...いいのかよ!?」
「仕方がないじゃない。子供じゃないんだし
あんまりしつこくしたらかえって
機嫌そこねるのよ。ソッとしとくしか
ないのよ...こういうときは」
「...ふぅ─ん」
それから車は家に向かって走り出す
俺は黙ったまま景色を眺めていた
すると急に母さんが喋りかけてきた
「昔からさ....体の弱い慧ばかり
あたしは、気遣っていたのよね」
「何、いきなり」
「ふふ、よくおばあちゃんとかに怒られたわー。
平等に可愛がりなさいって。
あたしは、十分あれで平等だったんだけどねー」

