千尋が見えなくなってあたしは
吐くようにため息をこぼす
たぶんあのまま千尋と一緒に
遊んでいたら無理に笑って千尋に
感づかれてしまう
これ以上千尋に迷惑はかけたくなかった...
「どーしたの?」
「え.....?」
後ろから懐かしい声が聞こえて振り向いた
「弘也くんっっ!?」
大きな鞄を肩にかけた弘也くん
相変わらず何にも変わっていなかった
「はい。どーぞ」
弘也くんに缶コーヒーをもらう
「ありがと」
学校から大分離れた公園のベンチに
あたしたちは並んで座る
─プシュッ
沈黙の中缶を開ける音だけが
響いた...
弘也くんがゴクゴクとコーヒーを飲むのを
真似してあたしも飲み干す
「.....神楽と別れたんだってな」
コーヒーを膝において弘也くんが
ブランコに乗った子供を見ながら呟くように
言った
「うん。そーだよ?」
わざと明るく振舞う
「...うちの学校で噂になってたんだ」
「そっか...噂って怖いねー。すぐ広まっちゃう」
これは本音.....

