慧があたしに鞄を投げる。
「ありがと。」
電車は一緒なのにあたし達は
ここで別れる。
慧は友達と。
あたしも友達と。
それでいいんだ。
大きくなるにつれて2人の距離が
どんどん離れていくのには
慣れているから。
─────
─ガタン、ゴトン
電車の中であたしは友達と話す。
同じ制服を着た女の子たち。
すごく気があって楽しいの。
いつも座れないけど友達と
話している時間はあっという間。
その時隣から声がした。
「心愛先ー輩♪」
見るとバイト先で一緒の子が
乗り込んできた。
あたしと同じ制服を着た子。
「梓ちゃーん♪」
岸本梓【きしもと あずさ】
1つ下の高1。

