なんていうか...空を飛んでいる
気がした。
鮮やかな空に白いふわふわしたような
雲がかかっている。
あたしは慧の猛スピードのせいで
地下鉄まで行く時間が少ない
時間思いっきり慧を後ろから
抱きしめた。
周りの視線なんて気にしない。
今しかできないんだ。
今しか.....
慧は明日、明後日になったら他の女の子を
自分のものにしている。
その子だけを見るようになっちゃう。
それでもいいの。
あたしは慧の隣の家で生まれて
幼馴染っていう関係になる運命だったから。
運命には誰も逆らえない。
だからあたしはこの運命を精一杯
楽しんで満足してやる。
風と一緒にあたしと慧は
人をおいこしていく。
─ああ、もう着いてしまう。
─キキィー
自転車が止まったのを合図に
あたしは慧を後ろから抱きしめる力を
抜いて行く。
「ほらよ。」

