俺とぶつかって一緒に転んだ女に
手を差し伸べる。
「ありがとぉ。ああっ!慧ぃ。」
甘ったるい声が耳に伝わる。
この声は.....
「まさ...み?」
「だよぉ♪もう慧勝手にアドとか携番変える
からすっかり遊んでくれないし連絡
とれないしぃ...寂しかったんだからぁ。」
椿、俺と同学年の女。梓と出会う前まで
よく夜家を抜け出して1人暮らしを
している椿の家に行っていた。
愛もなかったが......
「ね─えっ♪聞いたんだけど彼女に浮気
されてたんでしょぉ?じゃあ、今フリーって
わけだぁ♪やっぱ慧にはあたししか
いないと思うんだぁ。だ・か・らぁ
今日久々にうち来なぁい?やっぱ
あたしも慧と一番相性いいしぃ♪」
「.....。」
コイツ...何ペラペラと言ってんだよ。
「お前には...関係ねーだろ。」
「えぇ!?もしかしてまだ前の彼女のこと
根にもってんのぉ?もぉ浮気されていたんだから
そんなの忘れてあたしと夜一緒に過ごそうよぉ♪
どうせ慧は最初から捨てられて
いたんだからぁ「おい、黙れ。ぶす!」
低い声で椿に言う。
「はあー!?あんた関係ないでしょぉ?」
椿が睨んでいる奴は俺じゃなくて...
「宗.....佑?」
「慧はもう別の女がいるんだ♪だからお前みたいな
奴相手にできねえよ?何も知らねえくせに
分かったようなこと言ってんじゃねーよ。
ほら、慧行くぞ。」
「あっああ?」

