───9月───
今日からまた二学期が始まる。
あたしは制服のシャツをまくりあげて
家から飛び出す。
それと同時に隣の家からもドアが
開いた音がする。
見ると髪をちゃんと染め直して
また少し日焼けした慧が出てきた。
ネクタイをだらしなく結んでいて
暑そうに慧もシャツを
まくりあげていた。
「おっ!心愛ーっ♪おっはー。」
慧が自転車をおしながらあたしの
家の前まで来る。
「乗るか?電車まで。」
慧は後ろをポンポンと叩いた。
あたしはだまって自転車に横向きで
座った。
「ちゃんとつかまってろよ?」
「ん。」
「発車オーラーイっ!」
慧は猛スピードで自転車をこぐ。
風が気持ちよかった。

