そして唇の距離があと1センチになった時
あたしは目を瞑った。
この流れってつまり.....///
あたしもどこまで単純なんだ...ろ?
「慧.....?」
あと1センチという距離でとまったままの慧。
「どう...して?」
「.....。」
「なんで出来ない?あたしが隣にいるのに。
隣はあたしなのに。怖い?思い出が邪魔
するの?慧が一番分かっているでしょ!
どんなことされたか。そんなに忘れ
られないの?梓ちゃんが。憎くないの?」
最低な事言ってるってわかってるのに...
もう止まらないよ。
でも慧は黙ったまま何も言わない。
それがまたあたしのスピードを速める。
「あ─んな最低なことしたんだ「黙れ!」
急に慧が声をあげた。そして慧はそのまま
あたしを床に押し倒した。
「さと.....し?」
初めてみる慧のこんな顔。
辛そうで...寂しそうで...慧の目から
少し溢れてきた涙は今にもあたしに
ふってきそうだった。
「な...んでそんな目する...の?
ん─っっ.....。」
慧があたしの首に顔をうめる。
痛い。痛い。凄く痛かった。まるでその痛みは
慧があたしに全てを訴えているようだった。
そして慧はあたしの首から離れて
あたしを見下ろす。
またさっきのように冷たい目で─。

