「辛いのは...慧くんだけじゃない。
心愛だけじゃないっ!
みんなそう!誰が一番つらいとか
そんなの...今は関係ないっ!
今はそっとしとこうよ。
慧くんが選んだことなんだから。
それが慧くんから梓ちゃんへの
愛情なんでしょ?」
会場がしずまりかえる
「でもッ!でも.....慧を
後悔させたくないッ!」
「でもそれは.....ただ心愛の
気持ちをぶつけてるだけでしょう。
違う?」
あたしの.....気持ち?
「今はこうやってみんなで別れを
悲しんで...送ってあげることが
あたしたちに出来る最後のことじゃ...
ないの?」
「.....っッ─.....何で...何で...
みんなここに集まらなきゃ...
ならなぃの.....ょ。」
千尋はそっとあたしを抱きしめた。
その途端梓ちゃんの家族が
床に倒れこんで泣き出す。
梓ちゃんの幼馴染、
近所の人、親戚、小学校の友達、
中学の友達、高校の同級生、
先輩、中学の時の後輩、
教師、バイト仲間.....
そして.....時を一緒に刻んだ...
家族。
みんなの愛が.....梓ちゃんを
天国に送っていった。

