どうしてずっと黙ってたの…?
何でも話してくれてたじゃない。
いつからなの…?
あたしの知らない所で、そいつのこと
ずっと考えてたの…?



声にならない疑問を
モカの上履きに投げかける。
鼻をすする音がやけに頭に響いて……。



『少し頭冷やしてくる……』



そう言ってカバンを持って教室を
出て行くモカ。



『明日…!』
気付けば声に出していた。
止まる足音。



『明日から…!一緒に勉強しよう?
 家で待ってる。来るまで待ってる
 から…!』



背中越しに感じる視線。
何の返答もないままガラリとドアが
開いた時。



『モカ、信じてるからね…!』



ピシャリと閉められたドアから
聞こえる走り去る足音。
遠くになるにつれて、微かな音は
やがて消えた。