まあ他人から見るのと、本人が感じるのでは違う部分もあるだろう。

「なるほど。つまりキミはもっとわたしにイジワルをしてほしい―と」

「そっそういう意味じゃない!」

「え~? でもわたしにとっては、イジワルすることがイチャイチャすることなんだけど?」

ケロッとした態度で言うと、彼はがっくり項垂れた。

「…そっ。なら良いよ。先輩の好きな方法で」

「やった♪ ありがとね」

わたしははしゃぎながら、彼の腕の中に飛び込んだ。

「わっ! 先輩?」

「えへへ~。スリスリ」

口で言いながらも、本当に彼の頬に頬ずりする。

「きっ急に何だよ?」

「だってキミがイチャイチャしたいって言うからぁ」

彼の背に腕を回し、決して離れないように抱きつく。

「ったく、もう…」

彼は渋々わたしを抱き締め返してくれる。

けれどその横顔は、桜の花よりピンク色に染まっていた。

「くふふっ」

だから思わず思ってしまう。

こういう彼をずっと見ていたい―と。