「はぁはぁ、すみません。お待たせしました」

私の息が少し上がっている。

「そんなに急がなくても良かったのに」

「待たせてるから…」

「そんな気を使わないでよ。」と稲葉さん。

「は、はい」

「優希ちゃん。どーぞ」

そう言って稲葉さんは助手席のドアを開けてくれた。

「ありがとうございます。」
私は助手席に乗り込んだ。

稲葉さんの車の匂い。

初めて乗った時と変わらない。

2回も稲葉さんの車に乗れるなんて夢のようだ。

「じゃー適当に走るからね。迷ったらよろしく」

と稲葉さんは車を出した。

「遅くなりましたが、お帰りなさい。それから、CDと手紙わざわざ送って頂いてありがとうございました」

「どういたしまして。新曲どうだった?」

「凄く良い曲です!歌詞も素敵でした…私、毎日聴いてますよ」

「えっ、毎日聴いてるの?」

「はい。仕事の行き帰り、家に帰ってから…稲葉さんからCD貰えた事が嬉しくて」

「そう言ってくれると俺も嬉しいよ!送って良かった」

と稲葉さん。

「SDカードの写真も嬉しかったです。メンバーの人達も写ってたし…本当にありがとうございました」

「そんなに喜んでくれるとは思わなかったよ」

「一生大切にします」

「それは大袈裟だよ」と笑う稲葉さん。

私は稲葉さんにプロモ撮影の事など色々聞いた。

裏では沢山の人達が動いている事にビックリ。

(大変なんだろうなぁ)

テレビに出ている人達は凄いと尊敬した。