優しい子守唄

な…なんだ?衿を注意しなかった俺に苛立っているのか?
それとも俺の自己紹介に腹が立ったか?

視線を不快に思った文斗は、彼女を睨み返した。

すると彼女は無表情のまま、文斗から目を背け、前を向いた。

なんなんだ こいつ…

少しカンに障ったが、常に他人に無関心であるが故に途中からそのことなど忘れ、結局最後まで読書に耽った。