苺 大福【短篇】


先週までは“二人”で映画を見ている時間。

俺の横で美味しそうに苺大福を頬張る彼女は、今週からはもう隣に居ない事を確認しながら、彼女の大好きだった食べ物の味を初めて知った……

俺達は一つにはなれなかった。

「先週見た映画と苺大福の味は、ずっと忘れないんだろうな……」

そう思いながら、テーブルに溢れた餅の粉をティッシュで拭き、包み紙と一緒に捨てた。