苺 大福【短篇】


残りを全て口に放り込み、それぞれの味を確認しながら噛んでいると、何となくではあるが、全ての個性が一つになる旨さという物も感じなくはない。

それぞれの良さとは別に、一つになる事で新たな違う可能性を造った成功例……

ふと、おかしな妄想をしながら一人で苺大福を食べている自分に気付く。

「俺が一番滑稽だな……」

テレビでは今まで見た事もない土曜の夜の番組が、無意味にたれ流されていた。


生まれて初めて食べた『苺大福』の感想は、やっぱりそんなに特別美味しいものではなかった……というのが正直なところ。