薔薇城の若き当主。






「では帰るとしよう」

毒を秘めた、極上の甘い笑みをジークに見せ、ノアは扉に向かう。

「え、ちょっ…、おい…ッ! 待て待て待て待て!! おいノア、帰んな‼」

ジークはひどく焦ったようにノアを呼びとめる。
しかし、その言葉にノアは晴れやかに微笑し、

「さようなら、ジーク」

暗雲が立ち込める声音で別れを告げた。

「待ってくれーーー‼」



その日、ジークの絶叫は3分ほど続いたと言う。