【完】最初で最後の恋

「…俺、分ったんです。俺は…瞬さんには敵わないって。…奈央さんと付き合えて、最高に嬉しかったです。こんな俺と、付き合ってくれてありがとうございました。少しでも、俺のことを見ててくれた時間が…すごく、嬉しかったです。奈央さん、瞬さんのところに、戻ってください。瞬さんには、奈央さんが。奈央さんには、瞬さんが必要です」
「っ、龍輝…くんっ…ヒック…」
涙を、拭うことはできない。
触れたら…きっと、抱きしめてしまう…。
「俺は…奈央さんに、幸せになってほしいです。だから、奈央さん。絶対に…幸せになってください。でも、俺。まだ諦めたわけじゃ、ありませんから。隙あらば、今度こそ、俺のこと好きにさせてみせますから。そのへん、覚悟しといてください」
こんなことを言っている俺は、未練タラタラ。
けど、これくらい…許して下さいね?
「俺は……奈央さんのことが、大好きでした」
「あ…たしも、龍輝くんのこと、好き…だったよ。龍輝くん…、こんなあたしを好きになってくれて…ありがとう。傷付けて、ごめんなさい。中途半端で、ごめんなさい」
謝らないで、俺は…ホントに幸せだったから。