【完】最初で最後の恋

気付けば、もう夕方。
「奈央さん。最後に観覧車乗りませんか?」
「うん♪」
あたしたちは観覧車へ乗り込んだ。
「うわぁ!すっごく綺麗だよ、矢吹くん!」
「奈央さん。あの…俺のこと、名前で呼んでくれませんか…?」
「え?」
「あ、嫌だったら、いいんですけどっ…//」
顔が赤いのは、夕陽のせいじゃないよね?
「…龍輝<リュウキ>くん」
「っ//俺、すぐに奈央さんの元カレに勝てるなんて、思ってませんから。今は、元カレの代わりでいいっす…。徐々に、俺のこと好きにさせますから。覚悟していてくださいね」
「っ!」
気付いてたんだ、瞬のこと考えているって──……。
けど、龍輝くんはそれを…受け止めてくれていた。

彼の笑顔に、言葉に。
胸がトクンと鳴った気がした──……。

「ありがとう、龍輝くん」
そう言うと、一瞬、観覧車が傾いた。

小さなリップ音が、そこに響く。

キス、された。


──おでこに。