【完】最初で最後の恋

一番辛いのは、瞬。
分って、いるのに…。
この止まらない涙は、どうすればいいの?
とめどなく溢れる涙は、どうすればいいの?
「…ヒック……しゅん――……」

ぎゅぅぅぅ、と後ろから抱きしめられた。
「…奈央っ!!」
「しゅ、ん…?」
「ごめん…ごめん、奈央!!」
後ろを向くと、涙を流した瞬がいた。
「忘れてしまって、ごめんっ…!!」
やだ、そんなこと、言わないで。
一番辛いのは、瞬。
──あなたでしょう?
「謝らないでよ、瞬…。瞬は、ちゃんとあたしを思い出してくれた。それが、すごく嬉しいよ…?」
「っ、トリュフ。トリュフ食べて、思い出せた。俺が大好きで、大好きでたまらない子のこと。…奈央のこと」
「っ、なにそれ。…恥ずかしいじゃん」
「奈央、座ろうか?」
あたしたちは近くにあったベンチに座った。